裁量労働制を違法適用したとして厚生労働省東京労働局から特別指導を受けた野村不動産で、社員の過労自殺があった問題を巡り、加藤勝信厚労相が過労自殺の報告を受けた経緯について同省は説明を拒んでいる。政府は同社への特別指導を違法行為の取り締まり事例として国会で紹介しているが、過労自殺の事実は認めていない。野党は「裁量労働制の拡大を目指した政府が、都合のいい部分だけ答弁したのでは」と追及している。 関係者によると、野村不動産の50代の男性社員は2016年9月に過労自殺した。裁量労働制の適用が認められない業務をし、残業が1カ月180時間を超えることもあった。東京労働局が同社への特別指導を公表したのは昨年12月だが、社員の過労自殺については触れなかった。