地蔵=ヘルメス 地蔵菩薩(クシティガルバKsitigarbha)は六道および五濁悪世を巡って衆生を救うという。地獄までも降りて衆生を救いに来るこの菩薩は、六道輪廻の、そして地獄の恐怖が人々に植え付けられるまでは、さほど知られた菩薩ではなかった。 子どもが死後行き、苦を受けると信じられた、冥土の三途(さんず)の川のほとりの河原を賽の河原という。子どもは石を積み塔を作ろうとするが、大鬼がきてこれをこわす。その繰り返し。「シシフォスの労働」を思わせるこの永遠(永劫回帰)の徒労から子どもを救うのが地蔵菩薩である。身代わり地蔵であり、子供姿で現れる地蔵は、ここでは子供の救い主(まるで聖ニコラウス=サンタクロース)として登場する。では、何故ことさらに地蔵なのか。 子供たちの積む石こそ、亡者の導べとなる石だった。疫病に苦しむ平安京を救うため京の外周(京への進入路)に配置された六地蔵は、やがて辻々を守る地