【マドリード=酒井圭吾、梁田真樹子】北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が28日夜、スペインの首都マドリードで開幕した。29日には、今後10年間の行動指針となる新たな「戦略概念」を採択し、ウクライナを侵略したロシアを事実上の敵国と認定した。中国についても欧米への「組織的な挑戦」を突きつけていると初めて明記し、NATOは冷戦後最大の転換点を迎えている。 【図表】NATO首脳会議のポイント ロシアは破壊的な手段で直接的な支配の確立を試みているとして、米欧の安全保障への「最も重大で直接的な脅威」と位置づけた。現行の戦略概念では、ロシアを「戦略的パートナー」としており、NATOの危機管理の指針を大きく転換させた。ただ「NATOは対立を求めず、ロシアに脅威を与えることはない」として、防衛体制強化による抑止力を追求する方針を改めて示した。 中国については「多岐にわたる政治的、経済的、軍事的な手段を使