「論理的に説明しているのに理解してもらえない」とか、「何度話しても結論が出ない」というようなストレスは、ビジネスにおいて避けて通れないもの。しかし『ていねいなのに伝わらない「話せばわかる」症候群』(北川達夫、平田オリザ著、日経ビジネス人文庫)のまえがきで、著者のひとりである平田オリザ氏はコミュニケーションに関する2つの間違いを指摘しています。 一つは、日本人の多くが、「中身がよければ伝わる」と教え育てられてきた点だ。(4ページより) しかし、それは単なる精神論。中身がいいときほど、伝え方をよく考えなければいけないといいます。 もうひとつの誤謬は、「いまの若者たちはコミュニケーション能力がいちじるしく衰えている」という偏見。(4ページより) 「近頃の若者たちは......」という愚痴の大半は、自分の要求しているコミュニケーション能力とは違う能力を持ったものに対する違和感の表明にすぎない。(5