「美味しんぼ」が明らかにした論点は、鼻血が科学的にどのような意味を持つかという点だけではない。 行政が、自覚症状の訴えに関する系統的な調査をまったくしていないこと。そもそも、がれき焼却にせよ低線量被曝にせよ、危険性を明らかにするような調査は原理的に困難であること。そのことを承知の上で、がれき焼却を強行し、除染の効果を検証もせず、性急に汚染地域への帰還を推し進め、汚染食材の流通を野放しにする等していること。これらの重大事項が、「美味しんぼ」で紹介されている大阪の母親たちの聞き取り調査の方法論に関する科学的な批判と同列に並べて良いものかどうか、真剣に考えるべきだ。 僕は大阪のあの調査を根拠として何か科学的な主張をするつもりは、少なくとも当面はまったくないけれど、しかし、あの調査の不十分さを批判する資格のある人間は、少なくともこの日本にはいない、このことは断言する。仮に批判をするならば、その数百