富山県南砺市にある赤祖父ため池の円筒分水この記事の写真をすべて見る 富山県魚津市にある東山円筒分水槽 岩手県奥州市にある徳水園の円筒分水工(写真提供:胆沢平野土地改良区) 富山県南砺市内の田園地帯の一角にUFO出現か? はたまたローマ時代風の噴水なのか? 円形の物体から表面張力で盛り上がった水が、四方八方に絶え間なく、あふれている。この不思議な光景は一体何なのか? 付近で農作業をする男性に聞くと、「円筒分水(槽)」というらしい。地域によっては、「円形分水」とも呼ばれる。農業用水などを正確に分配するための利水施設で、細部の形や大きさはさまざま。全国各地の田んぼのあぜ道や草むらにあるそうだ。 日本では古来より、農業用水を巡る争いが絶えなかった。地域住民は話し合いの末、水を引く時間割を設けたが、時間に応じて水量が増減するため、不満が噴出した。また、流れに並行して水路を仕切ると、場所によって水量が