『ペスト』が売れている。理由はもちろん新型コロナウイルスの流行からだ。 アルジェリアのオランという都市でネズミの死骸が目につくようになり、病で伏せる人が現れ、ついには身近な人も倒れていく。ペストが徐々に街の人々へと広がり死が蔓延していく中で都市は封鎖され、その絶望の中で抗う人々の物語。『異邦人』『シーシュポスの神話』などで知られるアルベール・カミュの1947年発表の小説だ。 いまこの小説を読むことは、現在の世界中の都市がおかれている状況に重ね合わせる以外にはない。日本でも多くの人が集まる行事やイベントが中止になり、仕事もテレワークなど自宅勤務が続いている。また訪日外国人も昨年2月には237万人だった新規入国者が今年の2月は100万人以下と激減し(参考:2月の外国人入国者数が激減 100万人下回る 共同通信 https://this.kiji.is/608522356221166689?c=