『ハチミツとクローバー』70点(100点満点中) 一般人ウケを捨て、ファン向けに特化した潔さ 今年の夏映画は、アニメーション作品や漫画が原作の映画が目立つが、この『ハチクロ』も、羽海野チカ作の少女漫画の実写化。美術大学を舞台に、等身大の若者たちを描く群像劇で、『NANA』と並び話題に上ることが多い人気作だ。 美大教師、花本修司(堺雅人)の研究室に入り浸る美大生、竹本(櫻井翔)は、先生の親戚の少女、はぐみ(蒼井優)に一目ぼれする。しかし、変人ながら圧倒的な才能を誇る先輩、森田(伊勢谷友介)も、どうやら彼女に思いを寄せているようだ。竹本は、はぐみに強く好意を寄せながらも、はぐみと森田、二人の天才同士の世界に入り込めず、疎外感を感じていく。 『ハチミツとクローバー』は、よく引き合いに出される『NANA』に比べると、やや低年齢向きという印象を受ける。それは、登場人物から性欲というものが一片も感じら