本書の帯に、「英タイムズも絶賛!22ヵ国刊行の世界的ベストセラー、ついに日本に上陸!」とあるので、その言葉に釣られて買ってみたが、確かにその通りの素晴らしい内容だった。 『失敗の科学』というタイトルからは、直ちに「失敗学」を連想する。これは、『失敗学のすすめ』 で有名な東京大学の畑村洋太郎名誉教授が提唱した新しい学問分野で、起きてしまった失敗に対し、責任追及のみに終始するのではなく、物理的・個人的な直接原因と背景的・組織的な根幹原因を併せて究明しようとする、安全工学に経営学などの要素を加味したものである。 しかしながら、本書はこうした失敗の工学的メカニズムを明らかにするだけでなく、更に「人間が失敗から学んで進化を遂げるメカニズム」に焦点を当て、我々が進化を遂げて成功に至るカギは、「失敗とどう向き合うか」にあることを明らかにしている。 本書では、まず航空業界と医学界という二つの業界を取り上げ
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