ラマヌジャンの名前は知っていたが、功績の内容についてはまったく知らなかった。ところが、藤原正彦の文章を読んで興味を掻き立てられた―― ただ、ラマヌジャンの公式の放つ異様な輝きを、これらだけに帰着させようとするのは、単に我々がほかの要因を思いつかぬ、というだけのことかもしれない。ラマヌジャンは「我々の100倍も頭がよい」という天才ではない。「なぜそんな公式を思い付いたのか見当がつかない」という天才なのである。アインシュタインの特殊相対性理論は、アインシュタインがいなくとも、2年以内に誰かが発見したであろうと言われる。数学や自然科学における発見のほとんどすべてには、ある種の論理的必然、歴史的必然がある。だから「10年か20年もすれば誰かが発見する」のである。 ラマヌジャンの公式を見て私が感ずるのは、まず文句なしの感嘆であり、しばらくしてからの苛立ちである。なぜそのような真理に想到したかが理解で
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