近年、情報技術が発達したことにより、証券市場のティックデータ(※1)がデータベースに蓄積され利用可能になった。この膨大な情報を用いて多くの研究者や実務家が精力的に市場構造を研究しているが、なかでも経済物理学と呼ばれる分野の研究者達は統計力学を駆使して著しい成果を挙げている。彼らの最新の研究では、市場において「アインシュタインの関係式」が成り立つことが報告されており、学術と実務の双方で注目を集めているという。一体、市場とアインシュタイン(※2)との間にはどのようなの関係があるのであろうか。 1905年、スイスの特許局に勤務していたアインシュタインは3つの論文を立て続けに発表した。そのどれもが20世紀物理学に革命的な発展をもたらしたため、この年は「奇跡の年」と呼ばれている。 奇跡の年に発表された論文のうち、最も有名なのは特殊相対性理論に関するものであろう。アインシュタインはこの論文において、光