天理教で布教活動をしていた当時の写真を手に、里子時代の苦しみを語るしおり=神奈川県内で2024年3月18日午後7時50分、藤田剛撮影 朝日が昇る頃と、夕日が沈む頃。1日2回、神様の前でお祈りした。友だちと遊びに行くことも、学校の部活動に参加することもなかった。「私にはこれしかないんだ」――。そう自分に言い聞かせた。いつか母が迎えに来てくれると信じていた。だけど、そんな日は最後まで来なかった。 しおり(35)=仮名=は13歳の時、九州地方にある天理教の分教会に里子として預けられた。もともと信者ではなかったが、里親に言われるままに10年以上、天理教の教えを学ぶ日々を過ごした。気が付くと、彼女の心は「空っぽ」になっていたという。しおりが歩んできた人生をたどってみたい。 <主な内容> ・早朝から礼拝、物置のような部屋 ・「聖地」で寮生活、土下座して布教 ・結婚、破局、さまよう日々 ・里親だった男性