観相家としても知られる水野南北ですが、その食に関する造詣の深さには驚かされます。しかも、そのすべてが自らの体験に基づくものだけに大変説得力があります。幕末の名医として知られる石塚左玄にも影響を与えたと言われている人物です。 南北の教えで特徴的なのは「食べ物が人の運命に影響する」という点です。なぜそのような考えに至ったのかといういきさつは本文中に詳しく触れてあります。 今日、わが国ではグルメブームということで、テレビでも食べ物を題材として美食を推奨するような番組が増えていますが、私たち日本国民の運勢がどんどん悪化の方向をたどっているように思えてなりません。こんな世の中だからこそ、水野南北の教えを謙虚に受け止めたいものです。 (なわ・ふみひと) 「人の運は食にあり」と啓示される ●江戸時代中期の頃に生きた水野南北は、日本一の観相家といわれ、「節