日本で暮らすベトナム人というと、技能実習生が思い浮かぶ。工場や農業、漁業などに従事し、ときに日本人から手ひどい搾取や差別を受けているかわいそうな人たち……そんなイメージがある。これは日本側にもベトナム側にも大きな問題があり、ひと口で言えるような話ではないのだが、それはさておき東京に、新大久保には彼ら実習生は少ない。実習生たちが働いているのは、工場や農地、漁港などのある地方だ。都内に暮らしているベトナム人の主力は、留学生なのである。 とくに新宿区は、新大久保から高田馬場にかけての一帯に、日本語学校や、外国人を受け入れている専門学校が密集する。一説によれば、そのルーツは1935年(昭和10年)にさかのぼるという。新大久保に近い歌舞伎町に「国際学友会」という施設がつくられ、留学生の受け入れをはじめたのだ(後に北新宿に移転)。 なぜ新大久保に外国人留学生が集まるのか? さらに1983年(昭和58年