これほどまでの巻き返しを誰が予想しただろうか。5月には悪夢の9連敗を喫して高田繁監督が休養に追い込まれ、6月7日の時点で今季最多の借金19を抱えていた東京ヤクルト。ところが、小川淳司監督代行の下で6月は14勝8敗と勝ち越すと、7月も11勝8敗と着実に借金を返済。8月に入って8年ぶりの10連勝を記録し、24日の横浜戦に勝ってついに借金を完済してしまった。シーズン中に19以上の借金をすべて返すのは、プロ野球史上でもわずか3球団目。1966年の阪神以来、44年ぶりの快挙となった。 5月は月間3勝16敗1分けと泥沼状態だった東京ヤクルトに何が起こったのか。最も大きく変わったのは打線だ。高田監督休養時点でのチーム打率2割3分6厘、1試合平均得点3.1はいずれも両リーグワーストだったが、その後の70試合では打率2割9分0厘、得点は5.4まで上昇。その要因として多くが口をそろえるのは、6月に来日した新