本年9月,弊社より刊行された『死と身体』が,bk1,amazon.comなどのインターネット書店で売り上げトップ10にランクインするなど,大きな反響を呼んでいる。著者の内田樹(うちだ・たつる)氏はフランスの哲学者・レヴィナスの研究者。数年前に『ためらいの倫理学』(冬弓舎)を刊行して以来,映画論,フェミニズム,身体論などジャンルを越えた執筆活動を展開している。医療・看護界では弊社刊『看護学雑誌』2003年1月号のインタビュー「インフォームド・コンセントと医療の呪術性」に登場し,臨床看護師を中心に話題となった。 医療・看護界では異色の存在といえる内田氏の著作の何が,医療職の関心を呼んでいるのか。本紙では,内田氏の論に深い共感を覚えているという精神科医・春日武彦氏との対談を企画。その「謎」を追った。 ■「中途半端さ」に耐える能力 「時間」が問題を解決する ――内田先生の『死と身体』,春日先生の『
大学院ゼミで井原さんが『下流志向』の韓国における受容について貴重なレポートをしてくれた。 私の本はこれと『寝ながら学べる構造主義』が韓国語で出版されており、『若者よマルクスを読もう』が現在翻訳中である。 この選書基準が興味深かったので、そのことについてゼミでお話した。 『下流志向』はネット上での書評を見る限り、あまりちゃんと理解されていないようであった(「上から目線」で勉強しない人間や労働しない人間を「叱咤」している本というふうに読んだ人が多かったようである)。 現地出版社のプレゼンテーションに多少のバイアスがかかっていたのかもしれない。 『下流志向』のポイントは (1)日本社会の「階層化」が進行していること (2)階層下位に向けての「自分らしく生きる」イデオロギーの集中的なアナウンスによって階層化が果たされつつあること この二点である。 これはもちろん私の創見ではなく、苅谷剛彦さんの『階
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