ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)を併発した文学研究者が世界を旅するとどうなるのか? そんなありそうでなかった一冊が横道誠さんの新著『イスタンブールで青に溺れる 発達障害者の世界周航記』。世界46カ国を旅してきた発達障害者から見た日本社会とは? 自閉スペクトラム症者が持つ特別な感覚 ――横道さんの海外体験は、非常にユニークですね。ウィーンの空港でモダンジャズのような音の洪水に飲み込まれたり、スイスの山道を歩いているだけで集中力が飛躍的に上がる「フロー体験」が起こったり。 横道 自閉スペクトラム症がある人の多くは、聴覚がひどく過敏です。圧倒的な音の情報量を前にすると処理しきれずに感覚が朦朧として、世界が泡立って感じられます。とくに外国語がほうぼうから発せられている空間では、モダンジャズさながら音が煌めく星屑のように降ってくる、というのが僕の感じ方です。 また、発達障害
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