フィッツ=ジェイムズ・オブライエン(1828-1862)は、19世紀半ばにアメリカで活躍し夭折した伝説的な作家です。残された作品数は少ないのですが、今読んでもみずみずしさにあふれた幻想小説・ファンタジーが多く含まれています。 日本では、「ダイヤモンドのレンズ」や「あれは何だったのか?」といった作品がアンソロジーに収録され、一部のファンには知られていましたが、本格的にオブライエンの名が認知されたのは、傑作集『失われた部屋』(大瀧啓裕編訳 サンリオSF文庫 1979年)が出版されてからでしょうか。 この『失われた部屋』は増補され、2008年に『金剛石のレンズ』(大瀧啓裕編訳 創元推理文庫)として出版されました。14篇を収録するこの傑作集は、日本におけるオブライエン作品集の決定版といえるのですが、2018年現在、品切れ状態になっています。 収録作品は『金剛石のレンズ』よりも少ないのですが、幸い、