世界各地の発酵食品の製法を自ら試して紹介した『発酵の技法』の著者が、微生物による変成作用である「発酵」をメタファーとして、人間の社会、文化、そして精神が変容していく姿を考える書籍。さまざまな差別や反感から生じる人間同士の対立、気候変動、そしてパンデミックまで、多くの人にとって困難な状況の中で、生命をリサイクルし、新たな希望を生み出し、そして果てしなく続く発酵こそが、新しいアイディアやエネルギー、インスピレーションを生み出すための希望であることを伝えます。監訳者であるドミニク・チェン氏による解説「発酵する体」を掲載。 表面の複雑さと見えないものの美しさ メタファーとしての発酵 必要とされているのは、泡立つ変容をもたらす発酵の力だ 対バクテリア戦争 純粋と汚染 マイクロバイオポリティクス(微生物をめぐる政治学) 政治的な武器としての純粋さと汚染 純血の誤謬 完璧な防御境界という幻想 清浄な食品