引き続いて、岡和田晃による『真・女神転生』論をご覧ください。 『真・女神転生』をめぐる外挿法(エクストラポレーション)の射程 岡和田晃 本論考では、今や一大産業と化した感のある『女神転生』シリーズの中でも、人口に膾炙し、かつ尖鋭的なシナリオと練りこまれたゲーム性によって、名実ともにシリーズを代表する傑作との評価を崩さない『真・女神転生』と、同タイトルが体現したSF的想像力について、主に、SFの重要な技巧である外挿法をめぐる形で論じていく。 ●空無化された境界 「メガテンの記憶」において鈴木一也は、『女神転生』シリーズの出発点を、西谷史の小説『デジタル・デビル・ストーリー』が体現したような、「伝奇モノと云われるバイオレンスとセックスとクリーチャーの盛り合わせ」に置いている。加えて鈴木は西谷の小説を、ライトノベルの最初期の作品として位置付けている。 伝奇小説が有したいわゆる偽史的想像力と、その