7月21日、種子島宇宙センターから国際宇宙ステーション(ISS)に向け、食料や実験器具などを積んだ補給機「こうのとり」3号機が打ち上げられた。大役を担ったのは、物資輸送用ロケット「H-IIBロケット」の3号機。製造で中心的な役割を果たした三菱重工業開発チームは、日本のものづくりの技術が、宇宙産業にも通用することを証明した。 「こんな短期間で、こんな大型化が可能なのかと、思わず耳を疑った」。 三菱重工業航空宇宙事業本部に所属するH-IIB統括責任者の二村幸基さんは開発当初の苦労を今でも忘れることができない。 日本の基幹ロケットH-IIA以上の能力を持つH-IIBの開発を国や宇宙航空研究開発機構(JAXA)から打診され、開発が本格的に始まったのは平成16年。二村さんらが背負ったミッションは、物資輸送の効率化を図ることだった。それまでH-IIAで打ち上げられる衛星や補給機の重量は計約4トン。これ