病気や症状、生活環境がそれぞれ異なる患者の相談に対し、患者の心身や生活すべてを診る家庭医がどのように診察して、健康を改善させていくか。患者とのやり取りを通じてその日常を伝える。 <本日の患者> Y.C.さん、56歳、男性、酒造会社事務部長。 「Y.C.さん、先週の検査からは糖尿病という疾患にかかっている可能性が高いです」 「えー、やっぱり糖尿病ですか」Y.C.さんの顔に戸惑いの表情が浮かぶ。 「糖尿病についてこれから説明しますが、今の時点で、糖尿病についてY.C.さんはどんなことを知っていますか」 「実は親父が糖尿病なんですが、私はあんまり知りません。えーっと、ひどくなると足を切断しなきゃならないとかなんとか……でしたっけ」 Y.C.さんは、半年前に受けた社員健康診断(健診)の結果を持って、私のいるクリニックを1週間前に初めて受診した。健診では血糖と過去1〜2カ月の血糖値の平均を反映するH