Twitterで毎夜ひっそりと公開されていた8コマ漫画が、じわじわと人気を集め、やがて書籍になりました。それが『夜廻り猫』です。なぜ、多くの人々に受け入れられ、支持されているのでしょうか。 著者 深谷 かほる 出版日 2017-03-23 「泣く子はいねがー」 「一人泣く子はいねがー」 そう呼ばわりながら夜の街を行くのは、缶詰を頭の上に乗せて半纏を着た強面の猫、遠藤平蔵です。いつからそうしているのか、なぜそうするのかは明らかにされてはいません。けれども遠藤は、街の片隅で人知れず心で泣く人を、毎夜のように見つけては涙の理由を訊ね、ときに一緒に泣きます。 遠藤は心で泣く人、人知れずがんばる人を、ときに言葉で、ときに視線で励まし、ときどき食事の相伴にあずかります。野良猫ながら人に寄り添う遠藤が行く先々で出会う人や猫たちは、社会の中層から低いところにいながらも懸命に生きようとしています。 世の中は