これから何週間かにかけて、適応進化という考え方、それにまつわる誤解、集団遺伝学初歩、そしてゲーム理論について、やや長めですが、できるだけわかりやすく解説していきます。 本エントリーは、academist社ご協力のもと開催された、下記、講演会『数理で読み解く科学の世界』のフォローアップ記事です。 lambtani.hatenablog.jp 文責はすべて私の負うところにあります。論理的に不正確な箇所や、わかりにくいところがあったら、どんどんご指摘ください。 1. 生物の適応進化の考え方 1.1 遺伝する性質が進化する原理 キリンの首は長く、タンポポには綿毛があります。図鑑を眺めてみると、どの生物も異なる姿かたちをしているし、動物園に行けば、動物たちはさまざまな行動を私達に見せてくれます。野山に足を運んでふと見渡すと、草木や動物たちは、かくも素晴らしい多様性を私達に見せてくれます。 こうしたあ