近年、企業や政府などに対するサイバー犯罪が跡を絶たない。衆議院やソニーで被害が出た件などは大きく報道された。増加するこれらの事件や犯罪の背景にはどのような潮流があるのだろうか? ウィキリークスなどネットの新しい動向に詳しい塚越健司氏に論じていただいた。 米国の著名なジャーナリストであるジョセフ・メンの著書『サイバークライム』(講談社)によれば、近年のサイバー犯罪市場は麻薬市場を凌駕するほどまでに成長しているという。企業・政府の情報漏えい事件は跡を絶たないが、その背後には、金銭目的の犯罪集団や、各国の情報工作の影が見え隠れしている。しかしそれらとは別に、自らの社会正義や大義といった思想・信条に従うことでサイバー犯罪にまで至る組織も存在する。国連機関への攻撃で話題となった「TeaMp0isoN」といったいくつかの組織の中でも、2011年、ソニーの運営するプレイステーションネットワーク(PSN)