故人が希望したり、周囲が納得して決めた直葬が増えると一方で、それとは異なる事情での直葬も増えている。「不況」や「経済格差」を遠因にした直葬だ。 葬祭業「富士の華」(東京都千代田区)の本社には9月8日、15人分の骨壺が安置されていた。みな、葬式や通夜なしの直葬で荼毘(だび)に付された。引き取り手はいない。 うち1つは同日夕、同社社員が火葬場から持ってきたものだった。「施設で1人暮らしをしていた女性。親族が見つからず、当社の社員が付き添い火葬となった。生前は生活保護を受けていたようです」と野田穂積代表取締役。ホームや自治体などと連絡を取り、保護費で直葬にした。 親族と連絡がつかない人、生活保護受給者の孤独死、ホームレスなど住まいを失った人の死(行旅死亡)…。生活に困窮した人の直葬が目立っている。同社が昨年扱った事案の、実に半数近くが直葬だった。「経済的理由で葬式をしない例が、正直、びっくりする