この間、古本屋に行ったら『バタアシ金魚』のDVDが安く売っていたので購入した。望月峯太郎の原作に漂う雰囲気を壊さずに、上手く映画化されている作品だ。 この映画が公開されたのは1990年。74年生まれの僕は、この年に高校に入学した。高岡早紀のムッチリした身体と筒井道隆の脳天気な笑顔を観ながら、時間が経つのは早いなぁと思いつつ、自分にとっての90年代は16から25歳で、それは青春期から成年期にかけてだったんだなぁ、とぼんやり思っていた。 この間、僕はかなりの数の映画を観ていたのだけど、ハリウッドのアクションやSF大作をさほど好まない僕は、そのかわりにというわけではないが、日本映画をたくさん観ていた。そのときは、いまもむかしも、自分が踏んでいる〈いま・ここ〉の地の延長線上に日本映画を捉えていたような気がする。90年代前半は自分のことのように観て、90年代後半には過ぎ去りゆく季節として名残惜しくま