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「新人クン、ガッカリしてるかもしれないけれど……」 僕の会社員人生のスタートはまったくさんざんなものだった。「カルチャー系のドキュメンタリー企画を」などと考えて放送局に就職するも、現場研修での体育会系のノリについていけず、会話もかみ合わず、3カ月の研修期間が終わる頃には、すっかり自信を喪失してしまっていた。 自分はこの会社に合っていないと思い詰め、人事部長に「間違ってこの会社に入っちゃったなあ」と慰められる始末。研修期間の終了後、希望の部署を確認するために実施された面接でも「特にありません」と答えてしまった。 そんな僕が最初に配属されたのは、テレビ放送にかかわるデータを入力、管理するという実に地味な部署だ。当時は、心身の調子を崩して制作現場を外れた人がリハビリ的に配属されたりもしていた。配属初日の職場で見たのは、机いっぱいにアニメのフィギュアを並べた先輩が、「ぷしゅー、ぷしゅー」と言いなが
豹変した妻、おびえる夫 朝食を終えたリビング。妻は寝起きのままのパジャマ姿で子どもを抱えて、疲れた目でテレビのワイドショーを見ている。 見るからに不機嫌な妻に気を遣い、テーブルの上の皿を全部、台所に持っていく。台ふきでテーブルを少しふいて、洗い物を始める。最近、皿洗いをするときは、裏側に油分が残っていないかなど、すみずみまで意識をめぐらせて、慎重に行うようになった。 さて、皿洗いはだいたいできた。後は排水溝のヌルヌルをとって終わろう。 それを見ていた妻。突然、何かのスイッチが入った。 「排水溝のヌルヌルの取り方が違う! 何度言ったらわかるの。やり直してよ!」 「!?」 やむなくもう一度、やり直した。しかし、その途中で妻がまた一言。 「本当に下手! やっぱり、もういい。後で私がやるから、そのままにしといて!!」 その後のことはあまり覚えていない。ただ、すさまじく長い間、堂々巡りの口論をしたよ
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