相続税を納税しようにも払えない滞納状態が続いた結果、税額が当初の数倍に膨らむケースがあることが、読者が本紙に寄せた手紙で分かった。滞納すると、「高利貸並み」(専門家)の利率となる延滞税が課されるためだ。雪だるま式に増え続ける滞納額を解消するのは非常に困難で、専門家は「税を滞納した場合には人生の再出発が難しい仕組みになっている」と疑問を投げかける。 (須藤恵里) 「バブル絶頂期に父が死亡し、約六千万円の相続税が課された。それが一億六千万円に膨らんでしまった」。東京都内に住む六十代の男性読者が語る。都心部で小さな酒店を営む。「父から継いだ家業を続けたい、その一心で生きてきただけなんですが…」 父親からは自宅兼酒店を相続した。相続税を一括で納める資金はなく、二十年かけて分割して支払う延納制度を選択した。延納では利子税(最高税率年6%)が課せられたが、当初は年に数百万円を納め、計画通り納められる