『仮面ライダービルド』は、仮面ライダーシリーズにしては珍しく「政治」と「軍事」が大きなテーマになった作品である。さらに火星探査や地球外生命体の襲来も描かれ、SF色も非常に強い。ロシアウクライナ戦争やイーロン・マスクの火星移住計画がホットな話題である現在、『ビルド』はぜひ再評価されて欲しい作品である。 国家暴力の箱が開く 『ビルド』の物語は、「パンドラボックス」といういかにもヤバそうな箱が火星で発見される場面から始まる。パンドラボックスは宇宙飛行士・石動惣一によって発見され、日本に持ち帰られた。惣一が禁断の箱であるパンドラボックスを開封したことを機に、日本の国家情勢は混沌を極めることになる。 開封されたパンドラボックスから謎の光が放出され、「スカイウォール」と呼ばれる高い障壁が地面から生えてきた。スカイウォールによって、日本の国土は東都・北都・西都の三つに分断されることになる。この「国土が三