私の父は定年退職してから、ずっと家にいるようになった。 ではこの10年近くの間、家で何をしていたか。自慰ばかりだ。 もうこちらには分かっている。 父が部屋に鍵をかけているときはたいてい自慰をしていると思ってよい。 私が昼間に大学から帰ってきて、父の部屋の近くを通ると、慌てたようにガチャっと鍵がかかる音が聞こえる。 父は私が何時に帰ってくるのか知らない。 基本的には夕方に帰ってくると思っている。だから日中は余裕だと思っているのだろう。 定年してまだ間もないころ、夜ご飯だと呼びに部屋に入ったら、下半身裸で陰部にティッシュを乗せて眠っていた。 泣きながら母親に飛びついた。ショックだった。何が起きているのか分からなかった。 それからも、何度かショックな出来事があった。 母親がいない日に部活に一人で出かけたとき、雨天で早い時間に帰ってきたら、全裸でリビングにいた。 またある日は部屋からいやらしい音が