「たった一人の反乱」「女ざかり」など、現代風俗を描いた市民小説で知られる作家で、日本芸術院会員の丸谷才一(まるや・さいいち、本名・根村才一=ねむら・さいいち)さんが13日午前7時25分、心不全のため死去した。87歳。 告別式は近親者のみで行い、後日、お別れの会を行う。 1925年、山形県生まれ。東大英文科を卒業後、大学の教員をしながら60年に「エホバの顔を避けて」で作家デビュー、徴兵忌避をテーマにした「笹まくら」を経て、68年に「年の残り」で芥川賞を受賞した。 誠実さ、深刻さこそ真実とされてきた、私小説に象徴される日本の文学的風土に反発し、ジェイムズ・ジョイス著「ユリシーズ」を共訳。20世紀の西欧のモダニズム小説の方法を生かし、ユーモアとアイロニーにあふれた長編小説を執筆した。 72年に「たった一人の反乱」で谷崎賞、88年に短編「樹影譚(たん)」で川端康成文学賞。98年、日本芸術院会員。源