肉には“強い”ワインがよくあいます。力づよい肉の旨味にワインが押し切られないからです。わたしにとっての“強い”ワインとは、濃厚であり、パワフルであり、タンニンがしっかりしているワインのことを指します。 こんやは《シャトー・ラベゴルス・マルゴー1997》。26年を経たボルドーとは思えない、力づよいタンニンと濃厚な果実味がいまだ健在。くちに含んだ第一感は、2000年代半ばのニューワルド系カベルネを彷彿とさせる、“強い”ワインです。さしの入った肉にも負けず劣らず、甘香ばしい濃厚な「ごまだれ」と一体となり、肉の旨味をひきたてます。 たとえば、軽やかでやさしいワインを肉にあわせると、口のなかで肉の印象だけが残り、ワインを感じにくくなります。“強い”もの同士、“やさしい”もの同士。マリアージュに限らず、なにごともバランスを意識したいものですね。