<< July 2024 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >> 画/近藤浩一路 するとまた、垣根のそばで三、四人が「ワハハハハハ」と言う声がする。一人が「高慢ちきな唐変木(とうへんぼく)だ」と言うと一人が「もっと大きな家へ入りてえだろう」と言う。また一人が「お気の毒だが、いくら威張ったって蔭弁慶(かげべんけい)だ」と大きな声をする。 主人は縁側へ出て負けないような声で「やかましい。なんだ、わざわざそんな塀の下へ来て」と怒鳴る。 「ワハハハハハ。※サヴェジ・チーだ、サヴェジ・チーだ」と口々に罵しる。 ※「サヴェジ・チー」 苦沙弥先生が、「番茶」を"Savage tea"(下品な茶)と訳したことをあげつらった罵り。