長期間にわたり人権を侵害されたり、主体性を奪われたりした結果、「どうせ自分には無理だ」という心理状態になることを「学習性無力感」と呼びます。ブラック企業やDVの被害者が容易に状況から抜け出せないのも、学習性無力感の影響が大きいと考えられます。 以前、ある県立高校のスマートフォン使用に関する校則改定について、教職員と生徒の間に立って調整を行う仕事を依頼されました。生徒側の要望を確認するため、「どのような校則にしたいか」ヒアリングを行った際のことです。さまざまな案を目を輝かせながら出す1年生と対照的に、無表情で「変える必要はありません。どうせ無駄ですから...」と諦めていた3年生を見て、「学・習・性・無・力・感!」の6文字が頭に響きました。 過度に厳しい校則の運用は学習性無力感を引き起こし、理不尽なルールに従うだけの、心を失った人間を生み出す可能性があります。「主体性はないが、ルールを破った人