これまで4回にわたり、日本の林業について海外の事例も交えながら日本林業にかかわる様々な誤解について指摘してきた。それらを踏まえて、今回からは、「では日本の林業を再生するにはどうすればいいのか?」という視点から、新しいモデルや展望、残された課題などについて書いていきたい。 今回取り上げるのは、林業の新しいビジネスモデル構築に向けて、どのように条件を整備していくかである。 材価の下落が迫った林業のパラダイムシフト 日本の林業経営は、かつてないほどに厳しさを増してきている。これは、それまでの木を植えて育てる保育の時代から、間伐した材を搬出して利用する時代へと林業のあり方が変わったこと、長年にわたって国際価格を大幅に上回っていた木材価格が世紀の変わり目にかけて急落し、国際価格に収斂(しゅうれん)したことに起因している。しかも、これがほぼ時を同じくして起こったことが、現場の混乱に拍車をかける結果とな