ミーティングポイントに指定されたのは、千葉県内の某駅改札。その人はおよそセルビア人とは思えぬくらい、きちんと約束の時間にやってきてくれた。見上げるような長身、そして柔和な表情と流ちょうな日本語。インタビュイーである「ゼムさん」ことズドラヴコ・ゼムノビッチさんだ。 ゼムさんといえば、1995年に鳥栖フューチャーズ(現サガン鳥栖)のコーチとして初来日して以来、清水エスパルスの育成コーチを経て、2000年12月から02年いっぱいまで同クラブのトップチームを指揮。結局、Jリーグの表舞台でベンチに座ったのはこの時だけである。いただいた名刺には「清水エスパルス 顧問」とあるが、その後は一時期を除いてずっと日本の育成現場で指導してきた。その大半は、およそスポットライトを浴びることのない千葉県内の小中学校がメーンだったが、ゼムさんの薫陶(くんとう)を受けて急成長を遂げた選手も少なくない。現女子日本代表の