【パリ=国末憲人】フランスが1960年代にサハラ砂漠で実施した核実験で、爆発直後に爆心に向けて兵士らを進軍させ、健康上、心理上の影響を調べていたことが、仏民間研究機関が入手した軍機密文書から明らかになった。同機関は、兵士を使った人体実験だったと批判している。 仏核実験被害者の救援活動に携わる「平和と紛争資料研究センター」(CDRPC、本部リヨン)によると、問題の核実験は61年4月25日、同国領だったアルジェリアのレッガーヌ核実験場で実施された。高さ約50メートルの塔の上での核爆発の20分後、攻撃役と防御役の二手に分かれた兵士約300人が爆心に向かって突進。部隊は爆心から650メートルの地点で止まったが、一部の兵士は爆心275メートルまで近づいたという。 実験の目的について、文書は「原子爆弾の人体に及ぼす生理学的、心理的効果を調べるため」と説明。「特別装備も多少の保護となるに過ぎない。(