武田珂代子、『東京裁判における通訳』、みすず書房 出た時から気になっていた本だが、ようやく読んだ。カバーのキャッチ・コピーより。 本書では、東京裁判の通訳について誤解を正す意味で、いったい誰がどのように通訳業務を遂行したかについて、さまざまな事実を掘り起こすことを第一の目的とした。 日米両国で入手した資料やインタビューを基に通訳作業の全体像に光をあてるとともに、通訳体制の三層構造、通訳手順成立の過程、二世モニターの複雑な立場といった、東京裁判通訳における際立った特徴に焦点を当てた考察を行う。 本書の第二の目的は、東京裁判通訳に関する事象を、通訳・翻訳学における理論や概念を基に分析・解説することである。 (後略) 「三層構造」とは最下層に日本人通訳者が位置し、それを日系二世の軍属がモニターし、最上層にヨーロッパ系アメリカ人の士官が言語裁定官、言語部長として位置するという構造を指す。 判決を左