中東某所で発生した邦人人質事件が世間を賑わせているが、同問題については事態が収束するまで直接取り上げないつもりだ。それは、一般的な誘拐事件と同様、被害者側が大騒ぎするほど加害者側を利する方向にしか働かないからだ。 交渉は、互いの手の内を推測し、読み合いながら、ギリギリの妥協点を探るわけだが、一方が騒げば騒ぐほど手の内をさらして、出せるカードを減じるか、カードの効力を減退させてしまうことになる。故に交渉ごとは可能な限り深く潜行して行われるべきで、関わる人間も少ないほど良い。 これは、国家間の外交でも政党間の交渉でも同じで、交渉内容や過程が明らかになって大騒ぎになればなるほど、様々な横槍が入って交渉が頓挫しやすくなる。ただ、デモクラシーには主権者に対する公開原則があり、検証不可能なヤミ交渉は許されないため、そのバランスをとるのはなかなかに難しい課題ではある。ちなみに外務省は60年前の日ソ交渉に