かつてフランス皇帝ナポレオンは「余の辞書に不可能の文字はない」と豪語しましたが、本書の著者・石川県羽咋市の職員・高野誠鮮さんは、「可能性の無視は、最大の悪策」がモットーです。 平均年収たった87万円、夢も希望も若者もなく、さびれるばかりの限界集落を救うために次々に大胆な行動を起こして、わずか5年で過疎の農村を生き返らせました。そんな高野さんの超人的な活躍ぶりに、お隣の富山県出身の落語家・立川志の輔さんは、リスペクトをこめてこう称えました。 ――スーパー公務員! 2002年のこと。ある出来事で上司の反感を買った高野さんは、異動で農林水産課に飛ばされます。腐ったそうです。そして傷心の思いで棚田が並ぶ山間部の神子原という村まで足を運んだときに、「農業は金にならない」「若者が減って村が消える」と嘆く老人たちを見て、愕然としました。 なんとかしなければ……高野さんは大きな衝動に突き動かされます。もち