あそこ、林のところ、人間学園にも女子はいる、俺は校舎から続く舗装された裏門への道を、腕章を付けながら歩いていた、すると、甲高い、甲高い声が俺は苦手だ、砂のような、ざらざらした感触が、俺はいい、声で、同じく腕章を付けた生徒が告げる、俺はその様子を一瞥して、今日も制服が似合っていて、今日も制服を記録したがっているな、と彼らを見遣り、行くぞ、と一声掛けて立ち去る。しどろもどろに声を発しながらついてくる女子生徒。その俺を、きっとどこかから見ているんだろう、きっといつか今日も声を掛けてくるんだろう、あの屋上の上からきっと、足をぶら下げて、ブランコにでも乗るように、俺を見ているんだろう、そして空を、この校舎を包む、紫の空を、あいつは、きっと、甲高い声は上げなかったろう、またここを記録したがっているな いつかは晴れる光なのに、と、低い声で、砂の重なりだけが醸せる崩れる風の厚さ、それを響かせて、奴は告げる