歌手のASKA氏の覚醒剤事件や危険ドラッグの横行をみるにつけ、「なぜ手を出したのか?」「なぜやめられないのか?」と、蚊帳の外の人間は疑問に思う。 社会的な、あるいは文化的な説明はもちろん重要だが、それはいったん脇に置き、「もっと根本的な、文化の差異を超えた生物学的な解明」を試みたのが、本書である。 快感をめぐる神経生物学分野のめざましい進展 著者のデイヴィッド・J・リンデン氏は、ジョンズ・ホプキンス大学医学部教授を務める神経科学者。おもに細胞レベルでの記憶のメカニズムの研究に取り組むとともに、脳神経科学の一般向けの解説にも力を入れている、と帯にある。 原書の副題は、「私たちの脳はどのように、高カロリー食やオーガズム、エクササイズ、マリファナ、慈善行為、ウォッカ、学習、ギャンブルをすごく気持ちいいと感じさせるのか」である。ここに示唆されるように、本書は医学的な依存症のみを扱っているのでも、文