仕事においてレジリエンス(再起力、困難から立ち直る力)を最も強く問われるのは、深刻な危機よりも「人間関係」だった――こんな意外な調査結果をふまえ、再起力に関するHBR歴代論文を振り返る。 2人のイギリス人コンサルタントが、小規模だが興味深い調査を実施した。これはビジネスで成功するための「再起力」(レジリエンス)の重要性を裏づけるものだ。再起力は、挫折から立ち直る力、変化に順応する力、苦難にくじけないで前進し続ける力、と定義されることが多い。 ところが――。サラ・ボンドとジリアン・シャピロはイギリスの公営・民間・非営利を含む組織の従業員835名を対象としたアンケート調査で、「生活のなかで再起力が必要となった出来事は何か」と尋ねた。すると回答は、2005年のロンドン同時爆破事件のような惨事ではなく、仕事でのひどい失敗でもなかった。容赦なく進む変化についていく大変さ、あるいはいまだ厳しい経済状況