秋山真之が大本教の信者であるという噂は、生前からあった。彼の伝記作者は、彼が大本信者であることは否定しているが、関わりがあったことは認めている。それによれば要するに秋山将軍は宗教研究家であり、その観点から大本に接近したという。伝記作者も、大本と関わりがあるということは、威望を傷つける過失であると考えており、何とかその辺を落としどころにしたいようだ。真之と親しかった山本英輔は次のように話している。「宗教とか心霊とかいった方面に対する興味は、秋山将軍の先天的の性格の中にあったのかも知れない。海軍大学時代も生徒の中で催眠術の心得のある者があったので将軍も催眠術に興味を持たれ熱心に研究していられたようだった。 だが、将軍は宗教に入り切るには、余りに理性があり過ぎる。宗教に没入してしまいたいにしても、最後の一分という所で入りきれずに悩んでいたのではないかと思う。」 宗教に熱心な軍人は以外に多い。石原