今回取り上げるのは『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』(PHP新書)です。 著者の小林弘人氏は1994年に「ワイアード・ジャパン」を立ち上げ、インターネット黎明期からその文化を広めてきた方で、本書でも、ネット草創期から現在までの変遷・潮流をたどりつつ、「ウェブ的」なものがリアルの世界とクロスオーバーしていくさまを各種の事例を交え紹介していきます。 ハイテクと人間性、所有と共有、希望と畏れ、ネット社会とリアル社会。さまざまな価値観が行き交う交差点の中心で、インターネットとは誰のためにあるのか、そしてこれからどこに行くのかを考えるべく、本書は書かれた。(「はじめに」より) 「ウェブとはすなわち現実世界の未来図である」とはいったいどういうことなのでしょうか。本書ではさまざまな角度からこのコンセプトに触れられていますが、私は端的に2つの点に集約できるのではないかと感じました。 ひとつめは「