スティーヴン・レヴィットのベストセラー『ヤバい経済学』の中に、「ヤクの売人はどうしてママと住んでるの?」という印象的な章があります(第3章)。シカゴ大学の大学院生が貧しい黒人たちの実地調査に赴くこととなり、そこで麻薬売買の元締めをしていたギャングと仲良くなって、彼らのお金の出入りを管理していた帳簿を手に入れるまでに至る(それをレヴィットが分析して、ビジネスという面からギャング組織を描く)という内容でした。この第3章の話を一冊の本にしたのが『ヤバい社会学』。著者は件の大学院生で、現在はコロンビア大学教授のスディール・ヴェンカテッシュです(ちなみにインド系の方)。 いきなりですが、泣けました(特に最後の数ページ、グッときます)。社会学の本に「泣けた」という書評もどうかと思いますが、原題は"Gang Leader for a Day"(一日だけギャングのリーダーを)で社会学とは一切称していない(