2009年の看護基礎教育カリキュラム改正において「国際看護学」がクローズアップされるなど,今や看護職にとって国際的視点は欠かせないものとなった。国際看護を「諸外国で保健医療活動を実践すること」ととらえる人もいるかもしれない。確かに,国際協力は高度な知識・技術を持つ日本の看護職が担える重要な役割だ。しかし,「国際的視点」を持つ意義はそれだけだろうか。 本紙では,このほど『知って考えて実践する国際看護』(医学書院)を上梓した近藤麻理氏と,日本国内で外国人医療に長年携わっている小林米幸氏による対談を企画。看護職に求められている「国際的視点」とは何か,国際化が進む日本で看護職がなすべきことは何か,あらためて考えたい。 近藤 私は,看護職が日本で質の高い看護を行うには国際的な感覚が不可欠だと考えています。なぜなら,看護の対象は「人間」であるからです。 ICN(国際看護師協会)の倫理綱領の前文には「(