【寄稿】 ワクチンで予防できる病気をなくすために 看護職に期待される役割 齋藤あや(東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻地域看護学教室修士課程) この半世紀においてワクチンの開発が急速に進み,ワクチンで予防できる疾患(Vaccine Preventable Diseases : VPD)が増えている。VPDを減らすためにはワクチン接種が推奨されているが,日本の接種スケジュールは海外に比べ遅れている。そのため日本では,ワクチンを接種しなかったためにVPDに感染し,後遺症を残す症例が後を絶たない。この背景には,日本と欧米におけるワクチン接種制度の大きな差がある。欧米で既に予防接種スケジュールに組み込まれているワクチンが,日本ではいまだに未承認であったり,接種費用が原則自己負担である「任意接種」のワクチンであったりと,世界標準から遅れている現状がある。これらの差は,いわゆる“ワクチン