この時すでに北斗は全女のスター選手であったものの、神取との死闘によって女子プロレス界のカリスマになったと言ってもいい。 現在では「鬼嫁」と呼ばれ佐々木健介と共にテレビに写りお茶の間の好感度も高いと聞く。 しかし現役当時を知る私にとって北斗晶は決してお茶の間タレントではなく「デンジャラスクイーン」である。 そこらの男性レスラーよりもよほど過酷な死線をくぐり抜けてきた北斗はまさに女子プロのカリスマと呼ぶにふさわしい。 メキシコ仕込みの華麗な技と感情を露わにした荒々しいファイト。 時には拳によって対戦相手を血祭りにあげるほどの残虐性。 北斗のスタイルは見るものを完全に虜にする何かを持った稀有な選手だった。 これから紹介する二試合はまさに女子プロレス史に残る名勝負だ。 両者が血みどろになりながらも殴りあう姿はもはやプロレスという範疇を超えた「死に合い」と言える。 伝説となる最初の試合は1993.0